こんにちは、自家製ギーク主婦あさかわだです。みなさんは生揚げ醤油を楽しみましたか?サイコー!
醤油の圧搾と生垽の濾過が終わたら、火入れ作業に向かいます。
関連記事▶▶▶家庭での醤油の絞り方5つ【おすすめ手順・醤油粕の利用もあります】
火入れはメーカー・蔵ごとに様々な方法で行われています。温度も時間もそれぞれのノウハウによる、言うなれば正解のない作業なのです。ワーオ!
私も家庭での火入れのベストを模索して、「低温・長時間だ!」「高温・短時間だ!」とアレコレ試してみました。
結局は垽が生成されるのを、自分の目で確かめるのが大事だと感じています。
この記事では次のことをシェアします。
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※この記事は私自身の醤油づくりの経験と本・日本醸造協会誌を根拠としています。
もくじ
火入れの目的
火入れをする目的は次の通りです。
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目的に必要な時間の目安はこの通りです。
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家庭での火入れの方法
家庭で醤油の火入れを行う際、私が試してみた方法は2つ。
- 湯煎
- 直火
いつも行っているのは直火方式です。今回は直火式をご紹介します。
必要な道具
- 鍋
- アク取り
- 温度計
鍋に醤油を入れ、80度まで加熱する
鍋に醤油を入れます。中火にかけて80度まで加熱します。
水と違って、液中にかなりの温度差があります。温度ムラを無くすために、こまめに混ぜるようにします。
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一定の温度をキープする
80度まで達したある時、液面に白い粕のような物が沸いてきます。これが「火入れ垽」でしょう。
火入れ垽が生成される温度を30分以上キープし、醤油らしい香りが出てくるまで火入れを続けます。
これまで私が読んだ文献においても、火入れの温度や時間、垽の生成について意見は様々。化学の視点をもってしても、ベストな火入れの仕方は、はっきりしないようです。
紹介した本では「80〜85度で20〜30分」と書かれておりますが、自家製の醤油には当てはまらないと思います。これは昔ながらのメーカーのやり方で、自家製の醤油とは条件が異なります。
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なので、時間や温度にこだわらず、次の点をポイントにしています。
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私のマイ醤油においては、火入れ垽が生成されるのは85度〜90度の場合が多いです。
高温なので香りが飛ぶかもしれません。しかし、私は火入れ垽を生成して、出来るだけろ過したい派です。その方が麹臭くない醤油になります。
垽を生成しつつ、殺菌・酵素の失活に必要な30分が過ぎたら、残りは火香がつくのを待つばかり。
徐々に香りが変化してくるので「醤油っぽい匂いが出てきたな」という所までは火入れをしています。垽もまだ液中にたくさんあるので、完全に醤油らしい匂いにはなりません。多かれ少なかれ麹臭い感じは残ります。
\火入れはこれで終了です!/
火入れ後の静置・濾過について
火入れによって生成された垽が沈殿するまで、静置しておきます。これは「静澄」や「垽下げ」と言われる工程です。
火入れ後の醤油は不純物で濁っています。
数日静置することで、垽が底に沈みます。
※1ヶ月以上静置するメーカーもあります。井ゲタ醤油さんは2週間
垽を巻き上げないように上澄みだけをとりだします。この後、コーヒーフィルターろ過をすると、目詰まりが改善されスムーズです。
垽下げについては、まだベストな方法が定まっておらず研究中ですが、途中経過を記事にしました。
▶▶▶自家製醤油づくり 火入れ後の清澄・おり引きの方法 【ウォータージャグ】
\火入れ垽の濾過が済んだら、自家製醤油は本当に本当の完成!!/
火入れ醤油の保存方法と傷みについて
火入れした醤油でも時間とともに劣化します。かびもしますし、酸化して色が黒ずんだり風味が悪くなったりもします。
保存に気をつけることで、使い切る前に傷むということは防げています。
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一度、白い粉のようなものが沸いてしまったことがあります。写真に残っていなかった!
調べるとそれは酸膜酵母菌らしく、醤油の匂いもおかしくなっていました。健康には影響がありません。しかし、醤油の旨味を栄養源とする菌なので、より一層劣化がすすむとのこと。
フィルターろ過をし、白い粉菌を取り除くと使える醤油に戻りました。
火入れ垽の正体って?
火入れ垽は、醤油中の不純物が熱によって凝固したものです。火入れによって垽を生成し、除去することで、クリアな醤油になると考えられます。
火入れ垽は、90%弱がタンパク質、10%が炭水化物、1.2%が灰分で組成されており、そのタンパク質は麹菌が生産した酵素タンパク質が主で、他に未分解の大豆タンパク、酵母菌などの菌体も含まれます。
主にタンパク質なので60度から垽の生成が始まっているはずです。ゆえに60度で長時間火入れも理にかなっていると言えます。
火香について
醤油には300種類以上の香気成分が含まれています。その中には火入れによって作られたり、増えたりする成分もあります。
醤油に火入れをすることで褐色反応(メイラード反応)が起こり、香ばしい香りを付けることができます。
山形の玉こんにゃくとか、お祭りのイカポッポとかもこの焦げた醤油の匂いがいい匂いですよね。
家庭での醤油の火入れ まとめ
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理屈的には、香り一つをとっても、違う火入れになるはず。
アルコール由来の香りは78度で飛び始めるし、火香は90度近い高温にした方がよく感じられる。両立する火入れは無いですよね。
垽を生成して取り除きたい人もいれば、垽を生成させたくないメーカーもある。
火入れの仕方は目的によって変わります。しかし、自家製には「こうしなきゃいけない」というのは無い!
火入れの時間や温度がイマイチで、ベストな醤油にならなくても・・・・その醤油も美味しいと思いますよ。気楽に!
2021年2月の私のベストは「85度くらい30分〜40分」「垽はなるべく生成・除去」となっております。
色々お試ししてみてください。尚、垽を食べてもお腹は壊しませんでした!
○最後までお読みいただきありがとうございました○
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