醤油

醤油の材料【大豆・小麦・麹菌】について知ると手作りの楽しみ倍増

2021年2月22日

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こんにちは、自家製ギーク主婦ブロガーあさかわだです。今回からシリーズで「醤油醸造にまつわる化学的な知識」をシェアしていきたいと思います。

第一回は「醤油の材料について知る」です。

化学的と言っても、醤油づくりで知りたい「理屈」を調べましたよっていうくらいです。化学的な分析などできませんからね。

理屈を知らなくても醤油は作れます!でも「もう少し詳しく知りたいな」ってことがありますよね。

  • 大豆のどの成分が何に変わるの?
  • 何度が適温なの?過ぎるとどうなる?なぜ?
  • なんで煮るの?蒸すの?
  • 麹カビ、酵母、酵素・・・って何?

なので、このお正月◎冊の本と、ネットの醤油ページを読み漁りました。自分で考えながらやれると、作業がもっと楽しくなります。

ただの自家製オタクが、60才オーバーの母にも分かるくらい簡単に説明していきたいと思います。

※このブログの「家庭で作る!自家製醤油の作り方」は、理屈を省いて作り方だけを書いています。醤油を作ったことの無い方は、こちらの記事をお読みいただくと、本記事がより楽しめます。

醤油の材料について知る

  • 醤油の材料は「大豆」「小麦」「種麹」「塩」「水」
  • 小麦は強力粉で代用できる

それぞれの成分を知って、その子達の役割を確認します。

大豆

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大豆まるまる、を丸大豆と言っている。丸い形の大豆っていう意味じゃないよ。

醤油のメイン材料は「大豆」です。

  • 丸大豆=脱脂加工されていない大豆
  • 脱脂加工大豆は、大豆から油分を取り除いたもの(フレーク状)

市販されている醤油は脱脂加工大豆を使っているものが主です。

大豆の栄養成分(乾燥豆100g当たりの含有量 単位:g)

畑の肉、大豆さんの栄養成分はこちら。

生揚げ醤油。色の薄い部分が油

豆類の中でも「大豆」は油が多い豆です。丸大豆で仕込んだ醤油は、圧搾すると「ラー油?!」と見間違えるくらいの大量の油が出ます。この油は取り除きます。

垽が浮くのも油の影響でしょうか・・・?

脱脂大豆だと、油を除去する工程が省略できます。しかもフレーク状だから、タンパク質の分解が早い。

  • 油を除去する工程が簡易になる(早く作れる)
  • 脱脂大豆は価格が安い

ゆえに、低価格で販売できるというメリットがあります。自家製してみると分かりますが、この油処分が大変。

大豆の役割

  1. 大豆の表面に麹菌が育ち、醤油麹となる
  2. タンパク質が分解され、約20種類のアミノ酸に変化
  3. デンプンが分解され、ブドウ糖などの糖類になる
  4. ブドウ糖は酵母や乳酸菌のエサにもなる

麹菌が作った「分解酵素」の働きで、タンパク質が分解されていきます。

酵素も麹菌も活きている醤油麹

塩水に入れると、麹菌は死んでしまう。でも生き物じゃない酵素は働いています。

タンパク質から20種類ものアミノ酸に分解されます。

アミノ酸はざっくりいうと旨味です。旨味で有名なグルタミン酸は「アミノ酸」の1種です。

醤油の旨味の主役はグルタミン酸です。

なぜ大豆を茹でるのか

  • 生の状態だと固いタンパク質を熱変性させて、分解されやすくする
  • 殺菌のため

麹菌を育てる製麹の工程は、30度〜40度での保温・加温をします。これは雑菌も増殖しやすい温度です。茹でることで大豆に付いている雑菌を死滅させます。

タンパク質の熱変性というのは、「タンパク質分子の立体構造が破壊される」ということで、目に見えないレベルのお話。この破壊によって、分解酵素の作用が受けやすくなります。

「柔らかいほうが分解されやすいだろう」と思ってたのとは違かった。

小麦(強力粉)

本来は「小麦」を使って作りますが、私は強力粉を使って醤油を作ります。

強力粉の栄養成分(100g当たりの含有量 単位:g)

強力粉1等

主成分はデンプン(炭水化物)ですが、小麦由来のタンパク質も醤油の旨味になります。

玄麦を使うとタンパク質の割合は増え、炭水化物の割合は減ります。

小麦の役割

  1. タンパク質が分解され、約20種類のアミノ酸に変化
  2. デンプンが分解され、ブドウ糖などの糖類になる
  3. 作られたブドウ糖は酵母や乳酸菌のエサにもなる

小麦のもつデンプンが醤油の甘み成分ブドウ糖に分解されていきます。ブドウ糖はこれから働く微生物のエネルギーにもなります。

なぜ小麦を煎るのか

  • デンプンの糊化(α化)
  • タンパク質の熱変性(大豆と同じ)
  • 水分の減少
  • 殺菌

デンプンの糊化(アルファ化)は、お米の例を上げると分かりやすいです。

お米も主にデンプンです。米は水に浸けておくだけでは固いままだけど、水分+加熱で糊状に柔らかくなります。これがデンプンのα化。

左:煎る前 右:煎った後 右の方がくっきりと真ん中の線が浮き出ている

小麦焙煎の場合は、内部の水分を利用して、小麦デンプンをα化します。α化することで、酵素の分解作用を受けやすくなります。

水分量が減少することで、保存性や割砕(かっさい)がしやすくなります。小麦が爆ぜる時に、中の蒸気が放出されることで水分が減少するそうです。

また、水分の少ない割砕小麦は、蒸し大豆の水分を吸収し、大豆とまとまりやすくなります。

で、ここまで書いてなんですが・・・私の醤油レシピでは強力粉を煎りません。それでも醤油はできますが、今度は煎ってみようと思いました。

麹菌(種麹)

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緑の粉が醤油用種麹

発酵に関係する3大微生物の分類からいきましょう。

大きい順に

  • カビ(mold)
  • 酵母(yeast)
  • 細菌(bacteria)

麹菌はカビに属します。

市販の醤油用種麹菌は、醤油醸造に適した麹菌とデンプンを混合しているようです。

種麹は買うしかないです。

麹菌の種類

麹菌にも種類があります。( )は利用される食品です。

  • 黄麹菌(醤油・酒・酢・味噌・味醂等)
  • 黒麹菌(泡盛・ジャム等の加工)
  • 白麹菌(焼酎)
  • 紅麹菌(沖縄の豆腐よう)
  • 鰹節菌(もちろん鰹節)

全部カビです。

次は醤油づくりに関係するのは黄麹菌。では、この黄麹菌2種類をチェックしましょう。

アスペルギルス・オリゼー

  • 日本の代表的な有用麹カビ
  • アミラーゼ(酵素)の力が強い
  • 別名「ニホンコウジカビ」

アミラーゼはデンプンを分解する酵素です。(唾液にも含まれているやつ)

味噌・味醂・酒など日本の発酵には欠かせない菌です。

アスペルギルス・ソーヤ

  • 味噌・醤油に昔から使われてきた
  • プロテアーゼ(酵素)の力が強い
  • 別名「ショウユコウジカビ」

プロテアーゼはタンパク質を分解する酵素です。(胃液にもその一種が含まれています)

醤油作りには欠かせない菌です。

醤油用の麹菌が活発な温度

醤油用の麹菌の生育や増殖、酵素の生産に適した温度があります。

  • 麹菌の生育や増殖には35度前後が適している
  • よい酵素の生成には25〜28度の低めが適している

しかし、雑菌の繁殖を避けるため、麹菌が育つまでは28度前後が適しています。まとめると・・・

  1. 製麹初期(28℃前後)
  2. 製麹中期(35℃前後)
  3. 製麹後期(25〜28℃)

ということになります。

麹菌の菌糸が内部までしっかりと伸びた麹が良いとされています。

<よく伸びた写真>

他にもpHや水分量、手入れのタイミングなどで麹菌の増殖の仕方も代わってきます。この辺はシリーズ第二弾「麹室で何がおこっているか」で説明していきたいと思います。

まとめ

醤油醸造三兄弟「大豆」「小麦」「麹菌」についてごちゃごちゃ書きましたが、とっても雑に簡単にまとめます。

  • 大豆はアミノ酸へ分解される(アミノ酸)
  • 小麦はブドウ糖へ分解される(ブドウ糖)
  • 麹菌はその分解を助ける酵素をつくる(プロテアーゼ・アミラーゼ等)

この記事について

この記事を書くにあたって、考えたことは「中学校の理科を忘れてしまった人にも分かるようにしたい」ということです。なので、敢えて参考文献とは違う身近な言葉を使いました。また、端折った部分も多いです。

概要を知るには足る記事になったと思います。ですが、正しく詳しく知りたい方は是非、ご自分で本や資料を読んでください。

たくさんのHPを見ましたが、詳しい情報や資料は、本と論文から得ました。醤油に関しての文献はJ-stageで無料で膨大な量を読めます。

参考までに私が読んだ本のリンクを張っておきます。

web上で見られるもの(HP,J-stage)

 

 

 

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